6月21日に、恒例の前年の山岳遭難統計が警察庁から公表された。それによれば、ここ数年増加の一途だった山岳遭難は192人の減少となり、2204名となった。22年の遭難の増加が極端だったので、減ったというよりも妥当な増加幅に戻ったというべきなのかもしれない。
今年、ショートロープでの確保の検定中、ガイド資格を取ろうとしていた優秀なクライマーが検定員である優秀なガイドを道連れ滑落するという事故があった。その場所を二人がそれぞれ登っていたら百回登って百回とも落ちなかったと、二人をよく知る人は語る。なぜそんな事故が起きたのだろう。
PEAKSの夏山遭難対策特集の座談会に呼ばれたのをきっかけに、夏山の遭難実態を分析してみた。元データはすでに公表している2010年の遭難データだ。昨年の全遭対での発表に向けてデータを料理した時にも、「いいデータってのはかめば噛むほど味がでる」と感嘆したものだが、夏山(7,8月)に限って集計してみたら驚愕の事実。