▲左:宮内隊員最後の仕事。この頭を見て散髪を頼む人がいるとは...
右:熊谷副隊長と別れを惜しむ宮内隊員
今日(3/20)、第60次越冬隊、第61次夏隊が成田に帰国した(前号の3/30はミスタイプ)。日本にいるほうは、豪州の出国制限で大丈夫なのかと気をもんだが、現地はそれどころじゃなかったらしい。しらせのシドニー到着は19日。もう少し遅れていたら、豪州に入国できなかったらしい。氷海での行動スケジュールはきっちり決まっているので、よほどのトラブルがない限り、そんな事態に陥ることはなかっただろう。「いやあ、それは残念だったね」と、思わず宮内さんに言ってしまった。船で日本まで帰って来るなんて、この21世紀にそうそう経験できるものじゃない。未来永劫「最後の赤道祭」と語り継がれたかも…
通常はシドニーで2泊くらい滞在し(しらせ艦内で)、しゃばっ気をつけて帰ってくるのだが、今次隊は新型コロナウイルスの感染防止のためにシドニー到着後も外出禁止。到着翌日早朝バスでシドニー空港に直行して帰ってきたらしい。そんな彼らと堅い握手を交わしたいところだが、グータッチで我慢。
成田からのNEXで軽くヒアリングするだけでも、興味深い場面がいくつもありそうだった。リスクの高い場所だが安全への最大の配慮をして行う南極地域観測だけに、危ないことなどそうそうない。だが、「より危ない」方向に進んでしまう場面ならいくつもあるだろう。その場面に遭遇した隊員たちは、どう考え、どう判断したか?それはあらゆるリスクに立ち向かう場面にも有効な教訓を与えてくれるだろう。そう思うと、宮内さんの持ち帰ってくれた動画、ヒアリング記録は宝の山に思える。自分でヒアリングするときには、オンラインでその価値が分かるが、こうして人にデータ収集を委ねると、サプライズの誕生日プレゼントを開く子どもみたいな気分になる。「中に何が入っているのだろう!!」。現地に行けないのは悪いことばかりではない。