治療に手間のかかる体質らしい。奥歯から2本目の歯を治療した時には、親知らずでもないのに2時間も掛かって往生してしまった。麻酔の効いている歯自体は痛くはないのだが、開けっ放しの顎が痛くて拷問のようだった。おまけに同じ姿勢で寝続けて、腰痛もでた。普通は2本の歯根が4本に分かれていたのが、手間の掛かった原因だという。「隣の親知らずより長かったです」と医師に言われた。
今回、血管怒張解明のために受けたカテーテルによる血管造影も、「30-40分でしょう」と言われていたのに90分の長丁場だった。歯の治療よりはるかにましだが、血管のなかに異物がはいっていると思うだけで、動く気にもなれない。血管の中に何かが入っている感はないが、手首や首元でなにかをぐりぐりやっている感触がするのが気持ち悪い。トンカチやっていたのはなんだろう?だいたい、首の動脈と手首の動脈という命に関わる場所に穴が開いているのだ。スプラッタ映画のようだ。
部分麻酔だから医師や看護士の声も当然聞こえる。かかり過ぎる時間といい、時折聞こえる予定通り行ってない感満載のコメントも緊張を高める。やれることは全てやっておこうということだろう。最後には、暗輝閃点も見えてきた。偏頭痛の前の血流異常に併発するそうだが、偏頭痛のない人に発生するとよくない兆候らしい。冬のロゲを走っている時、脱水のために発生したことがある。経験があるから不安には思わなかったが、さすがに頸動脈に異物があると、そういうことも起こるのだろう。
終わってしばらくしてから、担当医師が画像を見せてくれた。画像は惚れ惚れするくらい美しかった。造影剤を注入するたびに、大きな動脈から細い血管に血流がながれ込んでいくさまがリアルに映し出される。血管造影なんて、6月にやったのに、今更何が分かるのだと内心思ってゴメンナサイ。これなら90分間スプラッタやった甲斐もあった。冠状動脈も美しい。こちらは念のための検査だが、さすがにトレーニングの甲斐あって、健康そのもの。心臓の鼓動とともに血液が流れ込むさまが、「生き物!」って感じがする。
ビバ、科学技術の進歩!医学と工学の勝利だ!こんな素晴らしいことがさらに発展するなら、医科大と工学部の合併、法人統合大賛成!
おまけ
病室の脇の窓から見える富士山が美しいのはもちろんだが、静岡の街が思いの他美しいことに改めて気付いた。目の前に見える谷津山は双岡のようだ。今川義元が京都を倣って街を作ったのも頷ける。この病院の真下あたりに彼の館があったのではないかとも言われている。