http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/09/1396759.htm
隊としての準備も進み、本隊の出発まで2ヶ月、先遣隊の出発まで1ヶ月と迫った。観測隊員・同行者が一同に揃う第二回全員打ち合わせが行われた。会議の中では厳しいやりとりもある。全員がミッションに向けて真剣に取り組んでいるからこそだろう。
会議のあとの壮行会(極地研の広い倉庫で行われる)で、事務の女性が近寄って改まった口調で切り出した。何か手続きの不備があったかな?ちょっと不安になる。「今日正式に決定があって、文科省のhpにも掲載されました。」一瞬何を言われているだろうと思った。さきほど、貸与品の装備も受け取ったばかり。当たり前のように南極にいくと思っていた。こうして改めて伝えられると、自分の南極行きが正式ではなかったことに改めて気づかされる。
今日が最後の勤務日である極地研の白石所長が挨拶の中でこう言っていた。「皆さんが南極に行けるのも、家族や周囲の理解、協力があってこそです。」同行者というのは南極観測隊の正式の研究テーマではない。観測隊からみたらそんなおまけみたいな研究も、極地研と南極関係の多くの人々に支えられて正式決定に漕ぎ着けた。会議に膨大な書類を準備してくれる人、自分の出す書類を処理してくれる人。書類を確認して参加を正式に認めてくれた人、それを伝えに来てくれた人。もちろん、それ以前に、自然科学の研究フィールドである南極で心理学の研究ができることに気づかせてくれた人。白石所長の挨拶を聞きつつ、それら全ての人への感謝の気持ちが去来した。