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遭難の実態を分析してみると・・・

 全国遭難対策協議会のために遭難データの分析をして、改めて登山ブームの影響を知ることができた。2009年には登山人口が前年の倍以上になったと言われている。活動の程度からみれば、20%増し(参加人口×年間参加回数を割り算したもの)で、そのあたりが実感に近いところだろう。

 

 実際それに伴って登山による遭難も増えている。特に増加が目立つのが、道迷い。これまで中高年の遭難増加だけにスポットライトが当たっていたが、2010年は20-30歳代の道迷い遭難も相当数ある。

 

 50歳代以上で多いのが転倒。山で転んだり、転びそうになりひやっとした経験のない人などいないだろうと思われるような身近なリスクで、実際遭難数も多いのだが、40歳代までは軽傷で済んでいる人が多いが、これが50歳代を過ぎると重傷が多くなる。気力はある一方で筋力が衰え、またバランスも悪くなるために、転倒が重傷につながっているのかもしれない。

 

 50歳代にさしかかった私としては、60歳代以上の男性の病気の遭難数が他の年代に比べて突出しているのも気がかりだ。しかも、男女合わせて50歳以上の病気による遭難者は56名だが、そのうち29人死亡しており、全員が男性なのだ。もともと男性は「できそこない」(福岡純一氏の著書による」だから、弱いのだが、それに加えて無理をすることも致死率を高めているのかもしれない。

 この内容の詳細については、山と渓谷9月号でも発表する予定である。