野外活動の授業では、授業開始前にツールボックスミーティングを行う。活動場所の地図を見せたり簡単に口頭で説明をしたあと、1分ほど、どんなトラブルの可能性があるかを考えてもらう。とにかくリスクに意識を向けてもらおうというねらいだが、始めて行う活動も多いので、彼らの中からリスクの指摘が少ないのは、まあ仕方ないのかなとも思う。
昨日は、リスクを主題にした授業を行った。僕が安全に関する委員をしているOBSの浜谷さんにやってもらったものを参考にしたものだ。最初は何も言わずに、活動場所まで移動。その間、わざとテニスコートの中を通過したり、林の中を通過する。テニスコートでは当然のようにラケットを使ってボールを打っている。通過の様子を見ていると、特に注意の度合いを高めるでもなく、漫然と広がったまま歩いている。集合後に尋ねると、テニスコートでのリスクを感じた学生は1/3程度。では、それについて何か対応しながら歩いたかと尋ねると、手を挙げた学生は1名のみだった。
次にウォームアップとして、3人の中間に立つ人が身体をゆっくり傾け、両脇の人に交互に体重を預ける活動を行った。後ろ向きに倒れるのはけっこう怖い。「じゃあやって」といっていきなり始めようとする3人を制止して、「本当に大丈夫?」まわりのみんなも声を掛けてみて、と促すと、少しづつリスクの正体とそれへの対処法が明らかになってくる。挙げられたことに注意しながらやってみるが、実際にやると気づかなかったリスクがさらに挙げられる。「時計が当たる」とか「服がすべる」などは、確かにやってみないと気づけない点だろう。
次はメインメニューのバックフライング。ここでも、ある程度のインストラクションをした後、「じゃあやってみようか」というと、いきなりやろうとするので、再び「本当に大丈夫?考えられるリスクへの対応はした?」と問いかけると、そこで始めてグループ内で声を掛け合い、確認が始まる。その時一番不満だったのは、今さっきでたばかりの「服がスベル」「時計が当たると痛い」に対して、対応行動をとった学生がいなかった点だ。
自分で考える、っていうのは、こんなところからスタートするのかもしれない。