コンターズのTさんからおしかりの手紙をいただいた。「精神科医の言葉を聞き流してはいけません。0.5倍をどこからひねり出すのです?教員と専務理事の部分からは出せませんから、オリエンテーリング、競技のオリエンテーリングから楽しむオリエンテーリングにすることです。」
分かってはいるんですよね。でも根っからアスリートなもので。しかし、そうせざるをえないことは、自分自身がこの1月の体調や気力の変化から、一番に感じていた。たとえ、選考会を通過しても、「ついで」といえるレベルのトレーニングさえ、3ヶ月続ける自信はなかった。
9月からの9ヶ月間、トレーニングのせいで体調が落ちたとは思わない。でも、ここ1月は間違いなくそれが精神的にも体力的にも過負荷になっていた。特にこの1週間は、レースに走る気にたぶんならないだろう、と思うくらいの気力であった。
そのことを考え合わせると、前日興奮のあまり寝付けず、夜中に何度も目が醒め、金縛りに遭い、不思議な夢を何度も見たこと。そうやってくたくたになりながらも(こんな経験は全日本をまじめに走っていた時以来だ)、レースを走りたくないという気分にはならなかったこと、そしてレース前半は思いの他身体の切れがよかったことは、全く意外なことだった。レース結果は満足のいくものではなかったけれど、レース前半はその瞬間瞬間に集中したいいレースができた。後半先行するランナーに追いついて、タイムを意識して、雑なオリエンテーリングになり、ミスが焦りを呼んで、1分以上のタイムロスをしたのも、それがこの9ヶ月間にできたことの限界なのだろう。
トップと2分差の2位。2位になったことよりも、後半の展開には残念な気がする。トップとなり世界選手権チーム代表切符を手に入れたのは加藤だった。二人とも強化選手でなかった昨年の10月から、20の歳の差を超えて、加藤は互いに励まし合うライバルだった。握手をし、思わず抱きしめずにはいられなかった。